選考方法


一般入試では、私立は三教科(英語・数学・国語)、国公立では五教科(英語・数学・国語・理科・社会)の学科試験を中心に選考を行っている。

しかし帰国生入試では、海外で受けた教育内容に配慮して、一般入試とは別の観点から評価できるよう工夫されていることも多い。

このことは、私立の場合は言うまでもないが、国公立であっても同じで、学科試験の教科数が三教科に軽減されているケースもある。

 

さらに最近では、学科試験以外で選考を行うAO入試(※1)が行われていたり、得意な教科の配点率を上げられたりと、一般枠でも選考方法は多様化している。視野を広く持てば、チャンスは増えそうだ。

 

※1…AO(Admission Office)。入試事務所を中心に学校側の求める生徒像を選ぶ入試。基本的に、その学校で学習することへの目的意識が高く、意欲のある生徒が望まれる、書類審査や面接は、時間をかけて丁寧に行われることが多い

 

1. 作文・面接・書類で選考

帰国生の受け入れを主な目的として設置された学校を中心に実施。学科試験は行わず、海外の在籍校での成績表や活動暦などを記した書類、日本語または外国語(英語の場合が多い)による作文、面接で選考する。

 

2.英語力を重視して選考

私立の進学校に多い。学科は英語のみ、またはそれに国語・作文・適性検査・面接などが加わる。 三教科の学科試験を課す場合でも、「英語が高得点なら他教科が合格基準点以下でも考慮」、 「出願書類の英語能力試験の成績を含めて評価」などの措置が取られる。

 

3. 帰国生専用問題で選考

国公立の大部分、一部の私立で実施され、専用に作られた学科試験(3または5教科)で選考。国語は一般の入試問題より難易度を下げる、英語をやや難しくするなどの工夫がされている。

 

4. 一般と同じ問題で選考

国立と私立の難関校で多く実施され、一般生と同等の学力を要求。帰国生には合格基準点を若干下げるなどの配慮はあるが、競争はかなり厳しい。

 

 

スケジュール

海外滞在中に日本の高校受験を迎える場合、さまざまな準備(下表参照)を考え、“早め早めに行動を起こすべきなのは言うまでもない。スケジュールで気をつけたいのは、子どもが全日制日本人学校ではなく、現地校やインターナショナルスクールに通っている場合だ。

 先に述べた通り、日本の高校を受験する場合、必ず「入学年の三月末日までに九カ年の学校教育過程を修了、またはその見込み」になっている必要がある。しかし、現地校やインターナショナルスクールに通う場合は、日本での修了月との違いから、その条件を滞たす前に受験期が来てしまう。この“ズレ”に対処する代表的な方法は三つある。

 

9カ年の学校教育課程を修了&見込みにする方法

(1)早めに帰国して公立中学校に編入し、3月末日までに修了見込みとする。

(2)海外の全日制日本人学校に編入し、3月末日までに修了見込みとする。

(3)海外の学校をそのまま卒業し、日本の高1の途中(多くは9月)に編入学する。

 

ただ、どれを選ぶにしても、リスクは把握しておきたい。

(1)の場合は、日本の公立中学校に馴染めないことから受験勉強に集中できないことも。

(2)は、全日制日本人学校は運営母体が私立なため、いつでも編入学できるとは限らない。

(3)では、編入学試験自体が入学試験以降の欠員補充であることも多く、志望校が実施しないこともありえる。 とはいえ、こうした方法で見事ストレート合格を果たしているケースも少なくない。 また、通年で編入学試験を実施したり、入学年の6月卒業見込みでも受験を認める学校が少数ながら出てきたのは嬉しいこと。

 

出典: 帰国便利帳web