日本の義務教育年齢に相当する児童生徒が帰国した場合、居住する地域の役所に住民票を移すと同時に決められた通学区の公立の学校か、または私立の学校に通学させるための手続きをしなければならない。
帰国生の受け入れに関しては、国立、私立、公立小学校において実施されている。国立大学付属学校の一部では、帰国生に対する特別教育を実施する帰国子女教育学級が併設されており、また2001 年まで行われていた公立または私立の帰国子女教育研究校も、一部の学校では引き続き、帰国生の教育指導と調査・研究を行っている。
その他、帰国子女教育受け入れ推進地域センター校、教育委員会指定の帰国子女教育推進校や私立学校などで、帰国生の受け入れ及び円滑な受け入れのための体制の整備を進めている。
★国立の小学校
国立大学付属の一部には日本語や教科学習の遅れが目立つ小4~小6の生徒を対象に帰国子女特別学級が設置されている。特別に帰国子女学級を設ける「特別学級方式」と普通学級に入れる「混合受け入れ方式」とがある。
「特別学級方式」は普通学級とは異なるカリキュラムを用いながら帰国後の適応指導を行い、1~2年の在学を経たあとで普通学級での通常の学習ができるように教育プランが立てられている。
帰国子女教育学級設置校
千葉大学教育学部附属
お茶の水女子大学附属
東京学芸大学附属大泉
愛知教育大学教育学部附属名古屋
神戸大学附属住吉
福岡教育大学教育学部附属福岡
混合方式受け入れ校
横浜国立大学教育人間科学部附属横浜
大阪教育大学附属池田
★公立の小学校
義務教育年齢に達した児童は、居住地の住民登録を済ませて居住地区の教育委員会へ編入・入学を申請すると、学校が指定され入学通知書が発行される。
そのあとで帰国時に持ち帰った必要書類と関係資料を指定された学校へ持参し、編入・入学の指導を受け手続きを完了すれば、子どもの年齢相当の学年に入学することができる。
原則として学区によって入学する学校が決められるが、特別な配慮が必要な場合、学区外の通学が認められることもある。
★私立の小学校
私立の小学校は東京以外では横浜、大阪、神戸などの大都市に集中している。有名私立大学の附属校、小学校から高校までの進学校、また系列の中学校や高校がない学校
もある。
また私立の中学校は宗教団体が設立母体となっている学校も多いので、学校選びにはその学校の教育方針や宗教をふまえ、検討する必要がある。
帰国生の保護者が小学校の時点で編入を考えるパターンとしては海外の学校との学習上のギャップを私立の一環した流れの中で解消したいと考える事が多く、公立の学校よりもきめ細やかな指導があるのではないかという期待感がある。
現地校出身者には英語教育を早くから取り入れている学校が魅力的にみえるものである。しかし、小学校段階で私立の学校に進路を定める時は、その学校の教育理念を理解し子どもにもその教育を与えてみたいという方針をしっかりと持たなければならないであろう。
編入の時期、資格、手続きなどがそれぞれ違うので、事前に学校に問い合わせてみることが必要。
出典: JCMの「海外いろは」