帰国準備について


滞在時からの準備

 

情報収集

志望校の選定は、海外にいてももちろん可能だ。日本語環境を整えたインターネットでウェブサイトを閲覧したり、海外から書籍を入手するほか、大きめの都市に滞在していれば、日本の受験塾で情報を大量に仕入れることもできるだろう。

選ぶ際、帰国生を受け入れている日本国内の学校の体制は大きく3つ(下記参照)に分かれることをふまえ、親子でじっくりと比較・検討してみよう。

 

帰国生受け入れ校の教育体制の代表例

(1)帰国生の受け入れを主な目的として設置され、生徒の総数を占める帰国生のことを中心にとらえた教育環境を持つ学校。

 

(2)帰国生の受け入れが主な目的ではないが、日本語の補習や一般生とは異なる特別な語学クラス、帰国生にも対応した生活指導センターなど、帰国生に対する“何らか”の体制を持つ学校。

 

(3)「帰国生枠」での入試制度は設けるが、帰国生を対象にした特別な受け入れ体制を持たず、基本的には一般生と同様の教育を行う学校。

 

また、志望校が固まり始めたら、実際に学校へ足を運んでみたい。 帰国生を受け入れている学校では、帰国生に対応した学校説明会や入試説明会を開催するだけでなく、事前に問い合わせれば個別の学校訪問に応じてくれるところも数多い。 さらには、文化祭などの行事を公開していれば、それに行ってみるのも一案だろう。 里帰りや一時帰国を利用して、参加してみることをぜひおすすめする。

ただし、応募する際に事前の予約が必要だったり、帰国生としての資格認定を義務付けている学校もあるので、計画はお早めに。

 

学習の準備

海外滞在中に志望校を決めたとき、受験の準備はどのように進めるべきなのだろうか。 上記で挙げた「4つの主な選考方法」ごとに、その対策を紹介しよう。

 

作文・面接・書類で選考

対策としては、何よりも海外の在籍校での学習や課外活動に力を注ぎ、充実した学校生活を送ることが第一だ。 こうした選考では、現地での成績や活動の記録も重要な選考基準となるので、できるだけ良い評価を得ておく必要がある。 また、作文や面接では、異文化での暮らしぶりや、地域とのかかわり方など、学科試験では知ることのできない意欲や知的好奇心の旺盛さを、じっくりと見られることも知っておきたい。

そのほか、作文や面接の対策としては、試験で使用する言語自体の勉強、文章作成法の練習、これまでの滞在・教育暦を振り返って意見をまとめておくことなどが有効だろう。

 

英語力を重視して選考

まず、要求される英語力はかなり高いものだと心得ておきたい。 難解な長文読解が出題されることも珍しくなく、学校や選考方法によっては、英検準一級、TOEIC®800点程度を試験問題の基準としている場合もある。

ここで気をつけたいのは、英語圏の現地校やインターナショナルスクールに通っていても、いざ“日本式”の試験に挑むと点が取れないケースが案外多いということ。 原因としては、こうした学校のESLでは、日本の英語の授業で教えられているような「文法事項」を習得しにくいためと考えられている。 そこで、対策としては、日本の文部科学省が認可する中学校の教科書や、それに準じた参考書で、日本の中学校で教えられている内容を総復習しておくとよいだろう。 また、日本の英語問題の出題形式に馴れておくことも重要だ。

 

帰国生専用問題で選考

求められるのは、日本の学齢での標準的な学力。 問題のレベルは、日本の文部科学省認可の教科書内での基礎的な部分にとどめられることが多い。 そのため、極端に難しい受験用の問題集と格闘する必要はない。 学齢に合った参考書や問題集を入手して、基礎問題を多くこなすことが得策になってくるだろう。

 

一般と同じ問題で選考

帰国生に対し、選考段階で多少の配慮はしてくれるものの、日本国内のいわゆる難関校を受験する子どもたちと同等の学力を求められることが多い。 そのため、海外にある進学塾に通ったり、通信教育を駆使するなどしながら、日本国内でその学校を志望している受験生と変わらない勉強をする必要がある。

 

出典: 帰国便利帳web