海外在住子女は3万人強 中学進学にどう立ち向かうか
海外在住の日本人小学生は、約3万2000人ほどいるものとみられています(2007年11月現在/海外子女教育振興財団調べ)。
これらの小学生の保護者はもちろん、すでに日本に帰国し、「帰国子女」となった小学生をお持ちの保護者にとって、お子さんの教育問題、とくに中学進学については頭を悩ませていらっしゃることでしょう。
迷わず公立に進むと決めているなら問題はありませんが、たとえば、せっかく身につけた英語の能力を伸ばそうとするには、ABCから始める授業では物足りなく感じます。それだけならまだしも、同級生と比べて英語能力がひときわ高いことが目立ってしまい、人間関係に影響が及ぶこともあります。
一方、社会や理科については海外の小学校での学習は遅れがち。特に社会は日本人の常識である地名などがわからないこともあります。
一般入試とは別に行われる帰国生入試をうまく活用する
そこで、私立中学の受験を考えてみたときに、
理科、社会の遅れを考えると一般枠は不利なのではないかという不安がよぎります。
そういう方のための制度が、帰国枠、つまり、帰国子女を対象とする入試です。
帰国枠を設けている学校はたくさんありますが、その内容はさまざま。
出願資格、入試形態、入学後の対応など、それぞれの学校の考え方に基づき、千差万別です。これらについては、後述します。
入試日程の面から言うと、帰国枠の試験は一般入試の前に実施されることが多いようですが、一般入試と同一日程、同一内容で実施し、帰国子女のみ面接などを行った上で、優遇措置(各校規定の加点)を取るケースも多く見られます。
首都圏の場合、一般入試に先立って行われる帰国枠の試験は、早いところで11月、多くの場合、12月から1月の実施となっています。
帰国枠と一般枠の両方の試験を受けることは可能ですし、また、帰国枠についても、日程的に可能である限り何校受けてもよいわけですから、利用できるチャンスは大いに利用してかまいません。
出典: 朝日新聞デジタル
直前講習担当が感じている帰国枠中学入試というもの
こと帰国枠中学受験に関しては、多角的に合否を判定しているということを、今一度考えなおしてみましょう。英語ができるということは、どういうことでしょうか? 日本の学校に進学する上で、英語が抜群であるとは、いったいどういうことなのでしょうか。海外に何年も滞在しているのに、海外生活を否定している生徒を受け入れたいと考える学校は、どれほどあるのでしょうか。
学校が求める生徒像。これこそ学校案内などで、しっかりつかみたいことのひとつです。その視点から、帰国枠出願資格をしっかり読み直してみましょう。この学校は、海外からの受験生に何を期待しているのか。それが把握できれば、受験対策は見えてきます。
常に思う最高のパターンは、現地校に通いながら楽しく日本の勉強をするというものです。どちらもが苦痛・苦行になってしまわないように、周りの大人が様々なことを考えなければなりません。日本にいたら、中学受験は任意のものであるはずです。公立中学に対して、満たされぬものがあるからこそ、満たしてくれる学校を受験するはずです。そこに帰国子女特別入試というものが絡みます。受験資格や特異な入試科目。それらを十分に研究した上で、受験は決定されるべきではないかと思います。もし帰国のタイミングが合わなければ、高校受験が可能なのかどうか。そういうことも含めて、まず必要なのが「我が家の進路設計」ということになります。高校受験における帰国子女優遇措置は、大学受験に比べるとメリットは少ないですが。ただ、当然ではありますが、海外滞在期間が長くなれば長くなるほど日本の力は加速度的に落ちていきます。日本語力維持の方法を、しっかり対策しておくべきではあります。
最悪なパターンは、ひとこと、「無理をする」ということです。例えば中学受験に向け、子どもに鞭を打ちすぎてしまうこと。適度な負荷は必要です。ただ、現地校での生活に負担を感じている子どもに、更に課題を増やすとはいかがなものでしょう。最悪の場合、子どもの性格が歪んでしまうこともあります。大人におびえてしまうこともあります。例えば親の期待にこたえようとするあまり、悪い点におびえてしまうこともあります。そこで止まれば軌道修正もできますが、行き過ぎてしまった場合、カンニングなどに走り、実力は全く身に付かない子どもに育ってしまうケースも事実あるのです。学ぶ姿勢。謙虚の姿勢。これらを忘れてしまう子どもも見ます。海外生活という貴重な経験で得られるものは、本来「子どもに広い視野を身につけてもらいたい」「子どもに様々な経験をしてもらいたい」ということであったはずです。
中学入試に王道はありません。さらに帰国枠という特殊条件が加わります。準備方法はご家族ごとに違います。成功談が参考にならないことも多々あります。enaでの進路面談などを利用して、我が家の方向性などを再確認してみては如何でしょうか。いま何が出来ていて、これから何が必要なのかを検討する手立てとして、是非、私たちを「利用」してください。
出典: ena国際部
帰国子女受験に対応している中学の情報を知る
インターネットで帰国子女受験に対応している中学の情報を知るのであれば、自分が住むべき地域の周辺を中心にリサーチを行うべきです。偏差値などが重視されている一般的な塾のスタンスではなく、教育のバランスにも配慮すべき環境があるからこそ、帰国子女を積極的に受け入れているところに相談するのが最適です。
通塾を検討する場合においても、帰国子女を受け入れているところに行かなければ、結局は個人のスキルに合わせることができない教育を受けることになってしまいます。十分なスキルアップを望む場合には、積極的に情報収集を行うべきなのです。
まずは帰国子女受験に対応している中学についての情報収集から始めるべきです。インターネットで地域の情報を収集することによって、今後の目標がはっきりします。中には帰国子女枠での受験に対応しているところもあり、的を絞った学習が必要になることも少なくありません。つまり、個人のニーズに見合った環境の選択ができるようになるためにも、インターネットからの情報は、大きな魅力を放つようになります。
今まで海外で在住していた体験が無駄にならないためにも、今後の選択肢は慎重に考えるべきです。学力テストから通信教育や通塾、家庭教師の手配など、色々なバリエーションの中から選択することができるようになれば、受験に対する不安が少なくなることも予想されます。
負担の状況を考えて子どもの進路を検討することによって、効率的な学習の積み重ねも簡単になります。帰国子女のためのイベントも全国各地で開催されているからこそ、色々な知識を手にすることによって、今後の実力を発揮すべき分野の選定にも役立ちます。
現時点での実力を確かめたいというのであれば、帰国子女受験に対応した中学情報から、テストを実施している塾を選択することによって、スキルアップを行うべき方向性についての把握も可能です。
最近の学習塾が有している特性を踏まえて検討することができれば、これからの未来に対する期待を具体化させることができます。家庭でどんどん学力アップを図りつつ、帰国子女が中学を受けるために必要な側面を補てんすることができる通信教育など、負担を踏まえた生活スタイルのコーディネートも可能になるのです。
自分の実力を踏まえて中学についての視野を具体的に行えるようになれば、自分自身の可能性を高めるための環境選びに失敗しない生活を作りだすことができます。全国で帰国子女の中学受験をカバーしているところが存在するからこそ、情報収集からの判断がカギになることを踏まえるべきです。
出典: 受験ナビ
かしこい塾の使い方 から転載 2017.10.20
中学受験には、お子さんの状況に応じた多様な扉が開かれています。
そのひとつが、「帰国子女」枠による受験。
国内の一般受験生とは異なる選抜方法で選考してもらえるため、
海外経験のあるお子さんにとっては、大きなメリットがあります。
「帰国子女を受け入れている学校には、どんなタイプがあるの?」
「英語は得意だけれど、日本語や学科試験が不安・・・・・・。」
「受験までの準備や流れを知っておきたい!」
今日は、そんな皆さんに、帰国子女枠の受験を実施している中学校のタイプや、受験資格・内容、当日までの大まかな流れや準備しておくべき事柄について、
くわしくお話ししたいと思います。
海外在住の子どもの数は、年々増加しています。
文部科学省の統計要覧によると、平成28年度の時点では、約5万7098人の海外在留小学生が確認されています。
そして現在、この帰国子女生のうちの約三割が、中学受験を経て私立の中学校に入学していると言われています。
その理由の一つが、授業内容。
海外生活が長ければ長いほど、お子さんには、外国語を初めとする海外経験者ならではの力が身に付いていく一方、国内にいれば自然に身についたはずの日本に関する基本的な知識(地名・歴史など)や語彙力は欠けてしまいがちです。
このようなお子さんに対し、ただでさえ様々な学習レベルの生徒が集まる公立中学校では、一人一人に万全なフォローを施すことは難しく、国語、社会の授業について行くのに苦労するお子さんが多いのです。
逆に、英語においては、公立中学校の内容では易し過ぎて物足りなかったという話や、せっかく身につけた英語力を発揮仕切れず、やがてその力が衰えてしまった、という話もよく耳にします。
※私立中学校では、英語の時間は帰国子女生のみというクラスを設けて授業を行う所も多くあります。
帰国子女ならではの弱点はしっかりフォローしつつ、能力は存分に活かしてくれる環境を考えたとき、受験という選択肢が生まれてくるのでしょう。
時代の要請もあり、中学校側としても、帰国子女生の受け入れ体勢は、ますます充実してきています。
まず、帰国子女枠の受験を実施している中学校には、どんなタイプがあるか、大まかに3つに分けて見てみましょう。
~日本の社会・学校生活に適応することを目指す~
基本的に、特別な扱いはせず、あえて一般生と同様に授業を行う。
弱点となりがちな教科の補習を行う場合や、帰国子女生と一般生で分かれて授業を行う場合もある。
~帰国子女生ならではの語学力や海外経験を活かし、それを伸ばすことを目指す~
一般生とは別に帰国子女生枠を設け、そのような入試を実施する。
クラスごと一般生と区別する場合もあるが、全ての授業が別々とは限らない。
英語の授業時は帰国子女生のみのクラスを設けたり、弱点となりがちな科目の補習授業を行ったりする場合が多い。
~グローバル化を踏まえ、海外で活躍出来るような特性を伸ばすことを目指す~
帰国子女生を中核とした学校づくりを行っている。
講師はネイティブで、英語で議論する授業なども積極的に取り入れる。
海外の大学への進学や、将来海外での活躍を願う生徒に向く。
帰国子女枠の受験に必要な資格・条件は、学校によって様々です。
まず、多くの学校で基本的な条件とされている、2つの項目を確認しましょう。
多くの学校が、「海外在住2年以上」を条件としています。
1年以内~規定無しまで、帰国後の年数については様々です。
※在籍していた学校の種類を問う(日本人学校に通っていた場合は認めない)など、細かい規定がある学校もあるので、良く確認しましょう。
※ただし、各学校の担当者に直接相談を持ちかけたところ、受験が敵った!という話も耳にします。
学校によっては、ある程度柔軟な対応をしてくれる場合もあるので、規定の条件から多少外れていてもすぐに諦めず、まずは直接、受験相談窓口や担当者の方に尋ねてみることをおすすめします。
帰国子女枠の受験には、さまざまな選考方式があります。
学科試験は多くの場合、算数・国語の二科目、若しくは、算数・国語・理科・社会の四科目です。場合によっては面接や作文も課されます。
※一般の受験生と問題は同じでも、合格基準点は下げられる場合が殆どです。
1~3科目の筆記試験に加え、作文・面接が実施されることが多いです。
※作文の内容は、海外滞在先での行事やクラスメートとの思い出、印象に残った事、将来の夢を書かせるもの、文章を読んで考えを書かせるものなど、様々です。作文で苦労するお子さんが大変多いので、早めに対策しましょう。面接については、後ほど詳しくお話しします。
また、学校によっては
な場合もあります。
※受験科目・条件については、必ず各学校のHPなどで、最新情報をご確認ください。
※一部の中学校では、科目試験では無く、適性試験を採用しています。
また、英語以外の外国語受験が可能な学校もあります。海外滞在先が英語圏で無かった場合や、
科目試験は難しいと思われる場合も、様々な道が開かれているので、ぜひ探してみてください。
海外在住期間が長く、他教科に自信のない生徒さんにとっては、英語のみ・英語選択が可能な受験は特に魅力的ですね。
ただし、そこで問われる英語力は、学校によっては大学入試並みのものです。
他教科が不要・若しくは難易度が緩い分、英語力はきちんと問われるということを、心に留めておきましょう。
帰国子女枠の受験は、11月下旬から始まります。
首都圏の通常の入試は2月1日からなので、ずいぶん早いスタートです。
帰国子女枠の入試を先行して行う学校の場合、一般枠との併願も可能ですから、志望する中学校の受験日程はしっかりチェックしておきましょう。
帰国子女枠の受験を考えるようになったら、当日までどのように準備を進めていけば良いか、大まかな流れをご紹介します。
インターネットや、帰国子女受験生向けの学校案内本※を利用し、帰国子女枠の受験を実施している学校を調べてみましょう。
※『帰国子女のための学校便覧』(海外子女教育復興財団出版)が便利です。
気になる学校には資料請求を行い、受験資格などの疑問点は直接、受験相談窓口などに確認・相談してみましょう。
海外在住の方は、現地の日本人向けの塾でも受験情報を仕入れることが出来ます。大きな塾であれば、日本の中学校についての説明会を行っているところもありますので、是非問い合わせてみてください。
各中学校の受け入れ体勢、受験資格、科目、日程などを、よく確認しておきましょう。
通常の受験と同様、「共学が良い」「女子校・男子校が良い」「進学校が良い」「大学まである学校が良い」など、様々な視点から、よく話し合いましょう。
※この際、入試日程や偏差値と合わせ、共学なら何色、女子(男子)校なら何色、などと学校を分類して一覧表にしておくと、比較検討しやすくなります。
気になる学校がある程度絞れたら、(海外在住の場合は難しいかも知れませんが)、文化祭やイベントの日時を調べ、ぜひ一度足を運んでみてください。
また、平日であれば実際の授業を見学させてくれる学校もあり、設備や周りの環境に加え、普段の雰囲気や、先生・生徒の様子も分かります。
実際通うことになった場合の交通ルート、自宅から学校までの距離や時間(通いやすさ)も、しっかり確認しておきましょう。
受験に向けた学習の準備は何より重要です。
前述のように、一般の受験生と同時に先行される場合、学科試験の問題自体は一般の受験生と同じでも、合格基準点は下げられる場合が殆どです。応用問題も解けるに越したことはありませんが、
国語・・・漢字の読み書き・語句・文法などの基礎知識をきちんとおさえること。
算数・・・素早く正確な計算が出来、基礎的な文章題が解けるようにすること。
まずは、これらの基礎固めから始めましょう。
また、学科試験に向けた勉強はもちろんですが、
日本語での作文が課される場合、出来るだけ早めの演習・対策を行いましょう。
※国語の問題集、塾・プロ家庭教師などを活用しましょう。
※本番に向けて、時間を計って練習することも忘れずに。
※特に、自己紹介・海外経験など試験に頻出の内容については、何度も練習し、頭の中を整理しておきましょう。
※英語など、外国語の筆記試験・作文がある場合も同様です。
日本人向けの英検問題集・中学生向けの問題集も、基本の英文法やスペルの定着・作文演習に役立つので、ぜひ利用してください。
学校に拠っては、試験の一環として面接が行われます。
本人のみ・保護者同伴など形式は様々ですが、いずれにしろ、学科試験だけでは見ることの出来ない部分、つまり、以下のような部分を見ています。
面接では、第一印象が大切です。身だしなみ、挨拶・お辞儀などの立ち居振る舞いにも気を付けましょう。
※受験当日の服装や持ち物については、こちらもご参考ください。
中学受験の服装はどんな格好で行けばいい?
https://www.e-juken.jp/junbi/post_224.html
帰国子女枠の受験生を考える皆さんは、一般の受験生以上に分からないこと、不安なことが多いかも知れません。
幸い、今はネットで様々な情報が得られますし、日本の書籍もネット注文が出来ますので、ぜひ以下のサイトや書籍を活用して、じっくり検討してみてくださいね。
英語のみでの受験が可能な中学校(一例)