東京の公立小学校 学区別・世帯年収ランキング

 

 

東京の公立小学校 学区別・世帯年収ランキング

東京23区学区年収1位の公立小学校

 

 

 

 子供によりよい教育環境を与えようと、人気公立小学校の学区に引っ越す世帯は「公立小移民」と呼ばれる。人気公立小学校があるエリアは、教育や家庭内のしつけがしっかり行き届いている価値観の近い住民が多く住んでいる“いい環境”の街で、需要が供給を上回るため資産性も高い傾向にあるという。

 

 そうした地域が人気になっている背景として、「『両親の学歴・平均年収が高い』という点が挙げられる」と話すのは、不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティングを行うスタイルアクト株式会社代表取締役の沖有人氏だ。住まい選びの際、「学区」と「世帯年収」が重視されるようになってきているのだという。

 

 沖氏が、「住宅・土地統計調査」などをもとに学区別世帯年収を調べたところ、東京23区でもっとも年収が高かったのは、港区の南山小学校だった。

 

「南山小学校は六本木ヒルズや元麻布ヒルズを含むエリアで、平均世帯年収は1409万円。他の学区の年収1位の公立小学校と比べても、頭一つ抜きんでています。品川区の1位は学校選択制を導入している第三日野小学校です。ここは学区内の対象者だけで受け入れ人数を超過しており、入学希望者は抽選になっているほどの人気です。特にこの学区内ではどの町丁目も平均世帯年収は高く、“白金長者丸”と言われる上大崎2丁目、“池田山”と言われる東五反田5丁目は高級住宅街として知られています」(沖氏)

 

 23区外の東京都下ではどうか。

 

「都下は23区と比較して鉄道網が充実していない分、学区内に駅を含む小学校ほど利便性のよさから地価も高く、年収も高くなる傾向があります。立川駅前を含む立川市立第三小学校、青梅駅前を含む青梅市立第一小学校、豊田駅前を含む日野市立日野第六小学校などがそうです。

 

 児童数・学級数の多さも人気校の証で、稲城市立若葉台小学校は在校生1000名程度とマンモス校。東京都教育委員会言語能力向上拠点校や文部科学省学習指導実践協力推進校に指定されており、教育環境の高さをうかがわせます。

 

また、大学や病院などの施設が集積する学区も1位になっています。首都大学東京のある八王子市立宮上小学校、東京外語大がある府中市立白糸台小学校が該当します」(同)

 

 沖氏が運営する不動産情報サイト「住まいサーフィン」では、東京以外にも神奈川県、埼玉県、千葉県の学区別世帯年収1位の公立小学校が紹介されている。都心部と郊外とで違いはあるものの、人気公立小学校の学区は、教育熱心な家庭が多く、住環境がいいエリアである点は共通しているといえるだろう。

 

 

【プロフィール】沖有人(おき・ゆうじん):スタイルアクト株式会社代表取締役。国土交通省「住宅エネルギー性能表示検討委員会」の委員なども務める。新刊『マンションは学区で選びなさい』のほか、『マンションは10年で買い替えなさい』など著書多数。分譲マンションの無料会員制情報サイト「住まいサーフィン」を運営。