医学部合格者数ランキングを徹底分析 国公私立ともに“超”強い高校はここだ!

 

 医学部に強い高校をみる指標としては、一人の生徒が複数校に合格できない国公立大医学部の合格者数でランキングするのが一般的だ。しかし、私立専願の生徒もいるし、首都圏では地方の国公立大と首都圏の私立大に合格した場合、自宅から通える私立大を選ぶケースも多い。


 週刊朝日ムック『医学部に入る 2018』では、「国公立大」と「私立大+防衛医科大」それぞれの合格者数の高校ランキングトップ40を調査。表にまとめたので、ぜひ見てほしい。

 国公立大のランキングでランクインした公立校は11校。私立大のランキングでは日比谷(東京)のみだ。中高一貫校の医学部合格者数“上位独占”は、今年も続いているといえる。

 ここでは「東日本編」として、北海道から中部までの「医学部に強い高校」をお届けする。

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■北海道

 国公立大合格高校ランキングでランクインしたのは、13位の札幌南、37位の北嶺。47 人の合格者を出した道立トップ校の札幌南は、全国の公立で2位だ。医学部志望者が多いため、生徒と保護者対象の「医学部医学科研究会」を開催している。東北大、大阪大など北海道以外の大学にも14人の合格者がいるが、札幌南以外の道立高校の合格はほとんどが道内の大学だ。

 札幌市の北嶺は、卒業生の3分の1ぐらいが医学部に進学する。高3は放課後に、「医進英語」「東大理系数学」などの講習を受講できる。

 寮に入って国公立大医学部や東大を目指す「青雲寮コース」が人気だ。夜、中学生は自習室で集団自習。高校生は部屋や自習室で学習する。教員のほか、OBの医師や医学生が巡回して指導する。今年の中1は140人中47人が寮に入った。「寮は定員があるため、入試の成績順に入寮します。合格したけれど寮に入れなかった本州の生徒は入学しないだろうと思っていたら、今年は15人の生徒が母親や妹弟とともに札幌に住んで通学することに。このため、1クラス増やしました」(谷地田穣校長)


■東北

 国公立大のトップ40に入ったのは23位の仙台第二(宮城)と31位の秋田(秋田)で、私立大のトップ40には1校も入っていない。

 東北でもっとも医学部合格者数が多い仙台第二(宮城)には、医学部志望の生徒が入る「医進会」がある。「医師の講話を聴く、都市部と過疎地域の病院を見学するなどの会のプログラムによって医師になる心構えが育ち、モチベーションも上がるようです。2010年度に医進会を始めてから医学部志望の生徒が増え、医学部合格者も増えました」(仙台第二の菊地敏広進路指導部長)

 秋田は、昨年の国公立大合格者数22人から35人と増加。「医学部志望者向けの『医学部ガイダンス』に加え、毎月14日を語呂合わせで『医師の日』とし、1カ月間の医療ニュースなどから生徒が選んだテーマに対して意見を書き、教員がそれを読んでコメントしています」(進路指導主事の土門高士教諭)

 この学校の取り組みに加え、医師確保に悩む秋田県が実施する県内各病院での「医師体験」、医師・医学部の講演会などにも参加しているという。



■関東

 国公立大医学部は6大学しかないが、私立大+大学校は19大学もある。

 国公立大のトップ40に入ったのは、7位の開成、16位の麻布、桜蔭など6校。すべて、中学入試の偏差値が高い中高一貫校で、千葉の渋谷教育学園幕張以外は東京の学校だ。

 私立大のトップ40を見ると、その6校に加え、21校がランクイン。27校のうち実に20校が東京の学校で、東京の強さが際立っている。

 御三家をはじめとしたトップ進学校は、医学部受験のための特別なコースや指導がないところがほとんどだ。そんななか、国公立大33位、私立大3位の海城(東京)は、医学部志望者を対象とした「医学部小論文・面接講座」を04年度から実施している。「高2の3学期に、理想の医師像や医師を目指す理由について考えます。高3では『先端医療論』などの講義を受け、ディスカッションをしてから小論文を執筆。代表作品を合評します」(内田玄司教頭)


■中部

 国立の名古屋大、公立の名古屋市立大、私立の愛知医科大、藤田保健衛生大と四つの医学部がある愛知県が圧倒的に強い。国公立大合格者数トップ40に入った東海、南山、旭丘、滝はすべて愛知県の高校だ。

 国公立大合格者数が10年連続日本一の東海は、私立大も1位だ。医学部入試のための特別な指導は行っていないが、もともと医学部志望の生徒が多いところに「医学部に強い高校」というイメージが定着し、医学部志望の男子生徒が集まっているようだ。

 医学部志望の女子に人気の南山・女子部も、医学部受験に特化したクラスや指導はない。「女子は地元志向が強いため、自宅から通える名古屋大、名古屋市立大、三重大、岐阜大、浜松医科大や県内の私立大を目指す生徒が多いですね」(濱口吉宏教頭)

 一方、滝には医・歯・薬系志望者コースがある。「医・歯・薬系志望者コースでは、医療問題の討論をすることもあります。医学部志望者を対象に、河合塾の講師が年に約20回行う『小論文指導』は、毎年60~70人が受講しています」(戸田誠教頭)

(文/庄村敦子)

※週刊朝日ムック『医学部に入る 2018』から抜粋